記憶

Akamanma2006-06-16

退院日。自分が内科にかかる前にNICUに荷物をあずかってもらいにいくと、昨日からいらして夜勤が終わった看護師さんが帰る所で、感極まるが今日泣いてはユキが不安がると思うのでぐぐっとこらえてみる。旦那のおかあさんが送ってくださった退院服は大変可愛らしいので、又写真を送ると伝える。ユキへの友人の刺繍キティーちゃんにコメントをいただく、これは今日のお守り。内科が終わってロビーで旦那とおちあい12時半過ぎにNICUに入るとユキはいつもの格好でいつものように看護師さんにミルクを飲ませてもらっている。このまま明日もいそうだった。担当医からの話、これまでの生まれてから今に至るまでの主な治療のおさらいと、慢性肺疾患の定義の話等。目はステージ3のままなので、6月末日に外来で受診することになる。質問は無いですかと問われるが、毎日通っていたので特に無かった。担当の看護師さんから大変手の込んだスタッフの寄せ書きをユキにいただく。医療スタッフの方々と撮っていただいた写真を渡し、ミルク後の休憩30分をとり、次のミルクの時間までに家についていなくてはならないのでいよいよユキのお着替え。「ミルクタイムリミットは3時半ですか」「そうですね」 この時点で何事かとユキは目を見開いている。白いウエディングドレスの様な衣装を身につける。看護師さん達に可愛いと言われ、私たち夫婦はNICUを出て入り口でユキを受け取りにいく。外では母が待ち構えている。担当の看護師さんはしかめつらをしている。皆が無理やり笑顔をつくり、NICU卒業友人からいただいた横抱き抱っこ紐に皆でユキをのせ、危なっかしく受け取る様に担当医が「気をつけてくださいお母さん」とユキを気遣う。担当の看護師さんが「では」といい、私は「泣きません」と妙なことを言ってしまう。よくここで、私が不安なとき、「ユキちゃんはお母さんの声を覚えていますから」と言われた。それは大変信じがたいことだったが、今日まで4ヶ月近く親身になってそばにいた人の声や自分を助ける機械の音を覚えているのだろうと思う。記憶は人の心を持った時に感情を伴うだろう。夫婦の責任は重大だ。泣いている場合ではない。NICUの入り口で見送るスタッフを振り返りながらそう思った。


今後の日記はもっと簡素になります…ひとまずNICU編終了です。